遠国の鍵穴
2007年3月に旅行がてら撮影をして、その中からイメージを膨らませ自宅で撮り足した。
自分では色々な想いと迷いが垣間見える。 私達は永遠の遠国の住人にはなれなかった。
それはとてもリアルなことだ。
この作品にはほんのすこしのリアルも取り入れてみた。

下のテキストは雑誌掲載時に書き下ろしたもの。
イメージは一部公開。

鍵穴を覗くとそこは闇だった。
しばらくするとボンヤリと何かが見えてくる。
白い尻だ。
白い尻がコマ落としの様に右から左へと移動して行く。
目を凝らすと少女が四つ這いで床を這っていた。少女の鼻先には小象が二匹居る。
スカートをたくし上げた少女は尻を高く上げたまま苦しげに吐息を吐く。
小象たちはその姿を見ると部屋の隅から何やら持ち出してきた。
それは象の鼻の様な崩れたペニスのような、干乾びた肉棒に包帯が巻かれたものだった。

二匹の小象が肉棒を鼻で支えながら少女の背後へと回った。
それと呼応して少女が腰をくねらせ高々と尻を突き上げる。肉棒の包帯が外れ腐った肉片が覗いた。
小象は腐った肉棒を少女の花弁に押し付けると力任せに押し込んだ。
少女の股間から赤い花びらが散ったように見えた。
血が数滴床に滴り落ちた時、二匹の小象と腐った肉片は一人の若者へと姿を変えた。
若者と少女は闇の中で永遠の国の王と妃となった。

永遠の国の王と妃は、扉の鍵穴から時折下界を覗いた。
そこは広場でこの扉の鍵を持った少女が見えた。
王と妃は自分達の肉穴と肉棒による永久運動に膿み疲れ、この扉が開くことを切に願っていた。しかし少女は決してこの扉に近づこうとはしなかった。
王は少女にあらゆる呪いをかけてみた。
「鍵を開けると永遠の国がある」広場で鳥達が謳う。しかし両親は、
「この鍵で開けることの出来る扉を決して開けてはならない」
そう言い残して死んでいったので、少女は怪しく思い街から逃げ出した。
山を越えようと峠にさしかかった時、ついに呪詛に囚われ少女は白昼夢を見るかの如く街へと戻り扉の前に立ってしまった。
そして鍵穴に鍵を入れた。

少女が中に入ると闇の中に二匹の小象を見付けた。
少女はとり憑かれた様に四つ這いになると白い尻を振りながら床を這った。

鍵穴を覗くと真っ暗闇だが、目が慣れてくると次第に少女の白い尻が闇に見えて来る。耳を澄ますと象の嘶きも聴こえる。

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