乱暴な姫たち(村田兼一写真展によせて)
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やんごとなき高貴な姫君を、ほしいままに扱ってみたいという欲望は、男なら抱く ファンタジーだろう。 村田の写真術を特徴づけているのは、凝った舞台装置や演出とともに、精妙な着色の技術である。手彩色(ハンドカラー)という技法は、写真が発明されたばかりの十九世紀に大流行した。当時はカラー写真が技術的に完成していなかったから、仕方なく
モノクロームの印画に絵具で色をつけるやり方が発達したのである。 |
飯沢耕太郎(写真評論家)
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