冥府の岩戸

2004年7月の下旬と8月8日に撮影していた。初めて廃墟を使っての撮影。
9月にバストアップだけ自宅で撮り足した。

茹だるような夏の日、曇り空で湿度が高く 滝のような汗は乾かない。アシスタントに男性4人付いてもらう。
帰り道、前も見えない大雨と停電に見舞われた。
川の土手を走る車の車窓からはモノクロの空が広がる。四方に走る神のいかずちは掻き曇った空を縦に綺麗に切り裂き閃光していた。
そして風が涼しくなり、立秋を感じる事が出来た。

この作品には矢ハ理後に適当な話を付けてある。天照尊の闇バージョンといった感じである。
文章は以下の通り。


冥府に闇の尊おわします。
尊、暗黒の物の怪たちと暮らすも日々退屈に鬱々とし給へり。
「余はこの地の安穏さに辟易した」と側女に申すと、
その身を岩戸へと隠し給ふ。

闇の尊隠れ給ふにたちまちに冥府に光が満ち満ちて、
闇の住人棲み辛く中には光に焼かれるもの現る。
案じた物の怪たちは側女を捕へるとこれを緊縛し宴を催す。
何故なら闇の尊、人々の悲哀を喜びとし給ふ。
岩戸の外より下卑た声が沸き起こり、側女の艶なる泣き声漏れ聞こゆ。
闇の尊、気になりて岩戸を少し開け給ふ。
物の怪達、「今ぞ」と尊の腕を捕へると岩戸より引きずり出しけり。
闇のものたち色香に血迷い尊と言ふ事も忘れ、
側女共々縛り、その白い柔肌に鋭い爪を立て股間に舌を這わす。
尊、今までにない快楽に悶え身をよじらせ雷鳴の如く叫び給ふ。
物の怪たちその声を聞きて、我に返り尊に闇を乞ひ奉る。
尊、喘ぎながら自らの陰部を両手で押し広げ、股間からどす黒い霧を滴りながら噴出し給ふ。
冥府はその霧でたちまち元の暗黒へと姿を変へり。

その後、年に一度、闇の尊を慰むる宴があると云ふ。
その様な夜、山に迷い込む者、冥府の黒い霧に巻かれ、この世に戻れずと云ふ。

*モデル : 志穂

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