縦笛の少女

2006年9月から10月頃の作品。
当時の文章を下に掲載していますが、読み返すと大変変です。
雑誌の締め切りに合わせて、切羽詰っていつも頭の可笑しな 話を作り上げますが
時々それはドキュメントを性的に脚色していることがあります

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土手に土筆が芽を出しました
母が私を抱かえて囁きます
「さあ、おしっこ出そうね、しーこいこい」
「しーこいこい?」
私が問いかけ見上げる間もなく呪文のように小便はほとばしり
土手の土筆をなぎ倒しました

いつものこと
食卓で厳しい顔をした父は母を忌々しく見つめています
母の奔放な性格は父の嫌うところでした
母に似た私のことも父は新聞越しに睨みます
父に射すくめられると朝のおしっこが出ません
私は度々膀胱炎になりました

トイレで泣いている私を裏庭に連れ出し
私をしゃがませ囁きます
「ほーら、しーこいこい」
するとたちまち割れ目から水柱が立ち地面を洪水にしてしまい
庭の蟻達が右往左往いたします

私がセーラー服を着る頃、母は家から追い出されてしまいました
父は益々私を舐めるように監視して母の性格の芽を摘もうとします
私の心はカラカラに乾きひび割れてもうおしっこは出る気配もありません
トイレに入り母を真似て囁きますが
私の声は父に似て冷たく低く効き目がありません

膀胱炎の熱は度々上がり窓を開け私は寝そべります
慰めに母を想いピアニカを吹いてみました
母の呪文を音符に乗せて「ラーソッソッ」
懐かしさが込み上げて来て股間からはおしっこが溢れ出しました
私は母が家を出て初めて声を出して泣きました

それから毎朝私は裏庭に出て母の声に似た縦笛で
「ラーソッソッ」と吹いてはおしっこをいたします
父が縁側から隠れて私を見ています
娘の放尿姿を見てイチモツをかたくして握りしめています
父の固く硬直した頭ではそれが限界です
毎朝、射精も出来ず唯虚しく自分を握りしめるだけです
そして私は復讐の言葉を放尿の水柱で今朝も裏庭に刻みます
父のように黒くて小さな蟻達は逃げ惑い尿にのまれて死んでいきます
「しーこいこい」と溺れて死んでいきます


 

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